去年、母が亡くなり、初めて遺産相続を経験しました。
今回はその経験を踏まえて、遺産相続手続きの流れや相続前に知っておきたいポイントをご紹介します。
銀行の相続手続きの流れ 亡くなってから書類の提出まで
家族が亡くなると、亡くなった家族の口座がある金融機関に連絡をする必要があります。すると、預金口座が凍結されて、相続手続きが終わるまでは出金ができなくなります。
母の遺産は現金のみとシンプル。
ゆうちょ銀行と地元の信用金庫に行って、相続手続きの申請をしました。
地元の信用金庫では申請書を記入し、必要書類の書かれたパンフレットをもらいました。
ゆうちょ銀行では、相続確認表に記入をして、窓口に提出すると、後日申請書と必要書類の案内を郵送してくれます。
そろえる書類の中でも、一番やっかいなのは亡くなった人の生まれてから亡くなるまでの戸籍。
数年前、祖母の相続で父が苦労して取り寄せていたのを思い出しました。
祖母が亡くなったのは100歳と長生きだったので、改製原戸籍(かいせいげんこせき)も数枚用意しなくてはいけませんでした。手書きで「誰がこんな字読めるの?」というような古〜い戸籍もありましたよ。
市外の役所宛てに返信用の封筒と手数料分の定額小為替を同封し、戸籍を郵送してもらいました。戸籍の手数料の支払い方法は定額小為替で、切手ではだめなんですね。
母の場合は、支所の窓口に行っただけで、相続に必要な戸籍をすんなりと取ることができたので助かりました。
そして、遺産分割協議書も作りました。
ネットで調べても、特に決まったフォーマットがあるわけではありません。
なので、誰がいくら何を相続するかを記載して、相続人全員が直筆で署名し、実印を押します。
必要書類をそろえてから、相続の申し込みに再び金融機関へ向かいます。
相続の書類提出から審査終了までの期間は?
相続に必要な書類を提出してから、お金の振込があるまでは、金融機関によって異なります。
地元の信用金庫は、書類を提出した次の日に既にお金が振り込まれていました。
「早っ!こんなに早いとは思わなかった」
超特急で手続きが終わりました。
一方、ゆうちょ銀行は、書類を提出して12日後に手続き完了の通知がきました。
相続の審査では、電話で質問されることもなく、無事に終わったのでやれやれです。
ゆうちょ銀行は、審査が終わるまで1カ月ぐらいかかると聞いていたけど、2週間もかかりませんでした。書類を提出する時期にもよると思うので、もっとかかる場合もあるのでしょう。
こうして相続手続きを開始してから、3週間で母の遺産相続は終了しました。
相続前に知っておきたい3つのポイント
相続の手続きを終えて、相続前に知っておきたかったと感じたことがあったので、順番に説明します。
1除籍謄本は、死亡届を出してから1週間後に発行される
相続の手続きでは、除籍謄本が必要になります。故人が亡くなったことを証明するためです。
除籍謄本は、死亡届を提出してから、1週間ほどたたないと発行されません。
それを知らなかったために、除籍謄本を取りに支所に2回行くことになってしまいました。支所からそれほど遠くはないので、まだ良かったのですが。
仕事を休んで手続きをする場合は、除籍になっているか確認してから行った方が確実です。
ちなみに、除籍謄本や改製原戸籍の手数料は、1通750円かかるので、戸籍謄本を取るよりも高めになります。
2認知症の母の口座解約が亡くなるまでできなかった
母は認知症で亡くなるまで、証券会社の口座が解約できませんでした。
認知症でも軽度のうちなら、何とかなったのかもしれません。解約しようとしましたが、本人の同意がいると言われました。
でも、認知症も進行すると本人の意思確認などとてもできません。
残された手段としては、成年後見人制度を使うしかありません。
父が家庭裁判所で資料をもらってきて、一度は検討もしました。
しかし、手続きが煩雑の上、成年後見人になってからもかなりの手間がかかるので、少額のお金を解約するためにまでするものではないと判断し、結局そのままになっていました。
母は今から17年ほど前、60代後半で認知症を発症したので、相続対策などまだ考えていませんでした。当時は、私もまだ30代だったし、介護がこんな早くにくるとは思ってなかった。
最近、三菱UFJフィナンシャルグループで、親族を代理人にして認知症の高齢者の口座からお金を引き出すことができるようになりました。
代理人として申請しておけば、親御さんの医療費などを子供が立て替えることなく、親御さんの口座から引き出せるのです。
正直、もっと早くにやって欲しかったです!
銀行も柔軟な対応を求められる時代になってきています。親御さんが取引のある銀行で、どんなサービスがあるか事前に調べておくといざという時に慌てずにすみます。
3二次相続のことを考えて遺産配分をする
一次相続より二次相続の方が相続人の数は少なくなります。
相続人が配偶者ならば、配偶者の税額軽減の特例で1億6000万円まで、また、それ以上の遺産がある場合は法定相続分までは相続税がかかりません。
一方、子供は3000万+(600万×相続人の数)が相続税の基礎控除額になります。
お父さんが亡くなった時に、配偶者のメリットを活かして、一次相続でお母さんが全財産を相続するケースもあるようです。
しかし、一次相続で相続税はかからなくても、二次相続ではお母さんが前から持っていた資産もプラスされるため、金額はさらに多くなり、法定相続人は子供だけになります。
遺産額が、相続の基礎控除税額を超えてしまい、相続税を支払わなくてはならない場合も…
親の金融資産はそれほどないだろうから大丈夫と思っていたとしても、実家の不動産を合わせるとどうでしょうか?
相続税を払う人の割合は、約8%ですが、相続人が少ない場合は気をつけた方がいいでしょう。
相続は、いきなりやってきます。記事が少しでもお役に立てれば幸いです。