やましたひでこさんの書籍「新・ココロの片づけ術 自在力」を読みました。単なる片付けにとどまらず、心の荷物の断捨離法が書かれた深い内容の本でした。私の体験談を交えながら、本の感想を書いていきます。
悩みを引きずる人の特徴は?
「断捨離を深めていく人は、悩む時間がどんどん減っていっている」とやましたさんは言います。
身近なところでは、メールやラインを送れば、返事をくれるはずとか、何かをすれば「ありがとう」と言ってくれるはずと期待をしてしまいませんか?
でも、現実には返事がこなかったり、ありがとうがない場合もありますよね。
こうして、自分と他人の価値観のズレがたまっていくと、心のモヤモヤがどんどんふくらんでいきます。
一方、同じ状況にあっても、短時間で気持ちを切り替えられる人もいます。すぐに切り替えられる人はココロの免疫レベルが高いそうです。
では、逆に低い人の特徴とは…
ココロの耐性レベル、免疫レベルが低いという要因となるのは、この3つ。
自己肯定感の欠如
知らず他人軸
自己制限
出典:新ココロの片づけ術 自在力
*簡単に言うと、知らず他人軸とは、よく思われたいと自然に他人軸になっている状態で、自己制限とは、変化を恐れている状態。
思い当たる節はありましたか?
自己肯定感も低かった私の変化
私も心の免疫レベルは低い方でした。
嫌なことがあると、何日も引きずることがよくありました。ベースには、低い自己肯定感や人からよく思われたい気持ちがあったのです。
自己肯定感の低い人は、親からダメ出しをされて育った人も多いのではないでしょうか?
だから、どうしても苦手なこと、できないことに目がいって、「みんなは上手くできているのに、私はだめだなぁ」と考える癖がついています。
それに加えて、他人軸になっていると、人の頼みを断るのが苦手だったり、自分より他人の意見を優先してしまいがち。すると、どんどん不満が募ってしまいます。
かつて人に合わせすぎる性格だったので、よく分かります。
そのため、相手が上から目線で接してきたり、雑に扱われた時もありました。そして最後には、その人との付き合いがとことん嫌になって、自分から離れてしまう始末。
当時は、相手のことを上から目線で嫌な人だと思っていましたが、私が適度に自己主張していれば、関係性が変わっていたかもしれません。
ある時、そんな生き方が嫌になって「もうみんなに好かれなくてもいいや!」と吹っ切れたのです。いい意味で開き直ったとも言えます。
最低限の礼儀をわきまえていれば、ありのままの自分でいて、嫌われたとしても仕方がないのではないでしょうか。
分かってもらいたい気持ちを手放すにはどうすればいい?
家族や他人が期待通りの言動をしてくれずに、ガッカリしたり、怒りを覚えた経験はあなたにもあると思います。
自在力では、義理の母親の介護をしたにも関わらず、夫がありがとうと言ってくれないと怒りを感じる70代女性の例があげられていました。
でも、夫が「嫁だから介護するのは当たり前」という価値観を持っていたら、いつまでたっても「ありがとう」は言ってもらえません。
すると、奥さんはずーっと辛い思いをしなくてはならない。これは、かなりしんどいです。
では、どうすればいいのでしょうか?
そもそも、「介護をしたら感謝されて当たり前」という価値観は、自分にとって有効に機能しているか、と見ていく。
出典:新ココロの片づけ術 自在力
つまり、感謝しない夫が正しいかどうかは脇に置いて、自分の気持ちを楽にするにはどうすればいいのかを考えます。夫にありがとうと言って欲しかったと気持ちを伝えてもいいですが、期待する答えは返ってこないかもしれない。
それには、わかってもらいたいという期待を、自分から手放していくほうが賢明だと。
と言っても、分かってほしい気持ちを手放すのは、一筋縄ではいかないもの。
認知症の母の介護をしていた時、あまりの辛さに弱音をはいたら、「もっと大変な人もいる」とある人から言われて、傷つきました。
そりゃあ、もっと大変な人はいるでしょう。でも、そんなこと言われたら、世の中のほとんどの人は何も言い返せなくなってしまいます。
「弱音をはくことさえ、許されないの?」と怒りと悔しさがぐるぐる渦巻いて、胸がはちきれそうでした。
結局、私は気持ちをただ分かって欲しかったのです。
今思えば、その人は認知症の介護経験がなかったから、介護者の苦労や悲しみは理解できなかったのでしょう。そして、当時の私はそっと触れられただけでもひびが入るほどもろい精神状態だった。
経験のない人に分かってもらえないのはしょうがないと思えるようになるまで、ずいぶんと時間がかかってしまいました。その間、怒りの感情に振り回されて、時間を浪費してしまったのです。
やましたさんの自在力は、物の片づけ術だけではなく、心のガラクタに片を付ける方法を教えてくれる良書でした。今の生活に生きづらさを感じている人が読むと、解決の糸口がつかめるかもしれません。